遺言
遺言者が単独で法律で定められた方式で作成する資産承継の方法(民法960条)。生前贈与と異なり、契約ではなく遺言者の単独行為。法律で定められた事項について遺言者の死亡により効果が発生。法定相続人の遺産分割協議によらず、自分が亡き後の資産承継先を生前に決めることができる。また、遺留分減殺請求が行われた場合、どの財産から対象にしていくのかといった順序指定等(民法1034条)、遺言でしかできない事項も定められている。
公正証書遺言
公証役場で公証人に作成してもらう遺言。証人が2人必要。公証役場が原本を保管。死後の裁判所での検認は不要。形式や内容の不備で無効になるおそれ、偽造・変造・隠匿のおそれがない。字の書けない人でも作成できる。紛失しても再発行が可能。
自筆証書遺言
自分の手で書く遺言。証人は不要。遺言者本人が保管。死後の裁判所での検認が必要。費用もかからず、ひとりで手軽に作成・変更でき、遺言の存在や内容も秘密にできる。一方、形式や内容の不備で無効になるおそれ、偽造・変造の可能性があり、相続人の間でトラブルになりやすい。自分の死後、遺言書が発見されないおそれもある。
二次遺言
予備的遺言、補充遺言ともいう。遺言者の死亡以前に相続人または受遺者が死亡していた場合に、その代わりに誰に財産を“相続させる”または“遺贈する”か、を記載しておく方法。
遺産分割協議
遺産の分け方について、相続人が話し合って決めること。通常は、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が実印で署名押印する。
遺贈
遺言で特定の人に財産をあげること。 通常は法定相続人以外の第三者について用いられる。
遺留分
法定相続人に最低限残される遺産相続に関する権利。 兄弟姉妹には無い。
遺留分減殺請求
例えば、被相続人が「愛人に全財産を遺贈する」と記載した遺言書があり、実際にその愛人が全ての遺産を取得したとする。このような場合、被相続人の妻や子供は、受遺者である愛人に対して、自分達には遺留分があり、この遺言は遺留分を侵害している、ということを主張することができる。そして、その遺留分相当額を返還させることができる。
法定相続人のケース別・遺留分の割合
法定相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
妻(または夫) のみ | 妻(または夫)100% | 妻(または夫) 1/2 |
子のみ | 子 100% | 子 1/2 |
妻(または夫) と子 | 妻(または夫) 1/2 子 1/2 | 妻(または夫) 1/4 子 1/4 |
妻(または夫) と親 | 妻(または夫) 2/3 親 1/3 | 妻(または夫) 1/3 親 1/6 |
妻(または夫) と兄弟姉妹 | 妻(または夫) 3/4 親 1/4 | 妻(または夫) 1/2 兄弟姉妹 ゼロ |
親のみ | 親 100% | 親 1/3 |
印鑑カード
実印登録するともらえるキャッシュカードのようなもの。
印鑑証明書
実印であることを証明する書類。役所で「印鑑カード」を使って請求するともらえる。
発行手数料は1通300円の役所が多い。
後見制度支援信託
後見制度支援信託は,後見制度による支援を受ける方(ご本人)の財産のうち,日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し,通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのこと。
実印
住所地の市区町村役場に登録した印鑑のこと。印鑑(実印)登録の際には、費用は発生しない。印鑑(実印)登録する印鑑は、朱肉を使うタイプであれば特に制限はないようである。いわゆる「シャチハタ」のタイプは受け付けてもらえず、三文判(認印)でも100円ショップで買った印鑑でも特に問題はない。
直系尊属
父母、祖父母などの直系の上の世代の人のこと。
直系卑属
子や孫、ひ孫など直系の下の世代の人のこと。
代襲相続
本来であれば相続人となるべき者が、被相続人が死亡する前に死亡するなどして相続権を失ってしまった場合に、その子供たちが親に代わって相続することをいう。たとえば、A(被相続人)、B(長男)、D(長男の子。Aからすると孫)がいたとして、Aが死亡したときには、既にBは死亡していたとする。この場合、Aの相続については、Bに代わってDが相続人となる。このDのことを「代襲相続人」という。
数次相続
上記と同じ事例で、A(被相続人)、B(長男)、C(長男の妻)、D(長男の子。Aからすると孫)がいたとして、被相続人Aが死亡した1ヶ月後にAの長男Bも死亡してしまったとする。この場合、Aの相続については、Bに代わってCとDが相続人となる。このようなケースを「数次相続」という。ここで注意してほしいのは、(代襲相続のケースと違って)長男の妻Cが相続人になるということである。
被相続人
法律の世界では、相続手続きのなかで死亡した人を「被相続人」という。
法定相続人
財産を相続する法律上の権利のある人。ただし、法定相続人については、単に「相続人」ということが多い。誰が法定相続人となるのかという点は、相続の手続きを進める上で重要な点となる。